失恋は好きな人への思いが成就しないことらしいので「友」だと思っていた人間への思いが消えてしまった自分は失友、というわけだ。
Twitterをやり始めて、何度も言われた言葉は「自己開示」。自分を出さないと相手も信用したくならない。そのアドバイスを受けて自分なりにそれなりに自己開示ってやつをしてみた。
そうして見つけた。私にとって信頼がおける、この人は面白い、そう思えた彼女。
リアルな人間関係に面白いと思うような人間なんていなかった。初めてだった。
相互になれて、頑張って話しかけた。それなり会話を重ねて勇気を出してタメ口どうですか?!言ったら嫌だって言われて(あっ距離感間違えたやつ〜^_^オワタ)してたのにいきなりお茶しましょうと誘われた。ので会った。
そしたら、自分と価値観の合うこと合うこと。嬉しくてたまらなかった。あまりに楽しくてTwitterって最高なんだなって思えた。
そのあとはその意気投合っぷりから交流は深まり。相手の好きなことややりたいこと、今日あった何でもないことを聞いて。夜中電話したし、スペースもしたし、その人繋がりで新しく2人も友達ができた。
楽しかった。なんてことない会話ばかりして。その4人でいることが。
仲良くやってる。毎週何度も集まって話して、そんなことしたの初めてだったから。これが友人だ。何て最高だ!
そんな時、私と友達たちのスペースを聴かせた先ゴリから放たれた言葉。
「浅瀬のオキアミの会話だよ」
…………………そんなこと言う?え?そんなこと…言う?
私がどんなに捻り出してもこんな酷い言葉出てこないぞ。
私は本当にそんなこと思ってなんていないよ。思ってない。……
実際問題、彼女達との会話で本気で笑ったことがどれだけあったのか。
……いやあったって。笑いあったじゃん、あんなに。夜中に馬鹿みたいな話してさ、屈託もなく笑いあって…………
…ないわ…………
放たれた真実の矢は止まることなく私に現実を突きつける。
笑っていたのは笑っていてもそうだ、心からではなくただ笑ってただけだ。特になんとも思わず、なんとなく笑っといた。中学と高校となんら変わらない。なんとなく、それなりに笑っといたのだ。
いや、一瞬も楽しくなかったわけでも面白くなかったわけでもない。彼女たちと話している時は確かにやりとりがあってそれはそれで楽しかった。
ただ「こいつ、おもしれ〜〜」と思ったことがある人間は私が最初に会った彼女だけだった。それでもその彼女以外の2人だって良い人で優しい。決して嫌いなんかじゃない、大好きだ。
でも、それは。クラスの女の子の、興味のない話をただ聞いていた高校時代と何が違うんだろう。アイドルの話が、できるだけなのだ。
それだけだった。
いや普通に気付きたくなかった。普通に。楽しくやってたつもりだったから。でも多分そのうち、そう一年もすれば自分でオキアミだって気づいてたんだと思う。ゴリラだから。先ゴリは流石先ゴリだ。50年近いキャリアで、私が気づかないでいた真実をアッサリ表に引っ張り出してきた。
落ち込んだ。それでも自分なりに頑張って、自分と同等に話せる友達ができたと思っていたから。頑張った結果はスズムシからオキアミに格上げだ。栄養分になっただけじゃねーか。
でも私は。最初にあった彼女がいるから。大丈夫だと思っていた。他の2人がちょっとおもしろレベルが合わないとしても、彼女がいるから。
Twitterから実際に会って価値観があって賢くて。教養もあるし、何よりおもしろかった。エピソードも豊富だった。しゃべっていて楽しかった。
私はちゃんと見つけ出したと思えた。
少しばかり違和感はあったと思う。無条件に奢るという彼女に、決して褒めてくれない彼女に。
でも年下扱いされるのはしょうがない。だって年下だから。それは同年代にゴリラがいないゴリラとしての宿命だと。そう思っていた。
ある日のお泊まり会。彼女はサバイバル番組を見ていて「いつものメンバーがこの番組に出たらどうなるか」と言い出した。いつも一緒にいるメンバーにそれぞれランキングをつけた。
1人目の子。Eクラスで、2回目の投票で脱落。
2人目の子。Cクラスで3回目の投票で脱落。
彼女。Aクラスで8位で合格。
そして、私。Aクラスで頑張るけど合格はできない。最後の投票で落ちる。
「すっごい優しいし周りを助けるけど、最終的に落ちるから。私はボーカルでAクラスで入る!」
………うっわ〜〜〜マジかコイツ。
今のこれは完全に彼女の中の友達のカーストランキングってやつだ。誰が自分より上か、誰が自分より下か、自分と同等か。全てが反映された、そう言う発言だ。
つまり、彼女は私を下に見ていると言うことである。私と、普段話している2人も下に見ていると言うことである。あの4人の空間では自分が最も上で、私をみんなで褒め称えてほしい、彼女という女王の独裁政治の場だったということである。
くっだんね〜〜〜〜。マジでくだんねえ。嘘じゃん、そんなクソつまんねえこと考えて私と付き合ってたのお前?
私は彼女を同じ目線で「オタク」として同等の立場として友達になりたかった。なったつもりだった。
彼女は全くそんなことはなかった。ただ自分よりも下だと思える人たちを集めた。涼しく団扇を仰いでもらっていた。
終わりだ。
彼女に対する信頼は全て崩れ去り、楽しかったスペースや彼女の空リプ、その周りとの交友は全て屑と化した。
最初はそのままにしていたが、目に入ると気持ちが重たくなった。遂には彼女をはじめとして周りの人間を全員ミュートした。
私はつまらない人間が嫌いだ。でもつまらない人間には何をされても何とも思わない。無視して終わりだ。虫と同じだ。
でも今回は違う。自分が「おもしろい」と、仲良くなりたいと思った人間に見下された事実はいくらゴリラでも結構キツかった。
今でもウォッチすら出来ない。から、やっぱ結構彼女のことが好きだったんだと思う。
さよならだ。
失友である。