独り言

その他もろもろ

マイ・ブロークン・ヤマイヌ

山犬やないか!!

お前…山犬やないか!!

 

そうだ。私は山犬だった。

私は人間が嫌いだった。両親が離婚してから、ずっと。森で孤独に生き、理不尽に私を不幸に合わせる人間を強く恨んでいた。

もののけ姫のサンのように。

私は山犬だった。

 

 

今日本屋でふと。何年か前に読んだマイ・ブロークン・マリコを見つけた。

この漫画を初めて読んだ時、訳も分からず一つ場面がひどく心に残ったことだけは覚えていた。

それは主人公が自殺した自分の親友(マリコ)のお骨をマリコの父親から略奪するシーンだ。主人公は父親に向かって今までの散々な不幸を述べて泣きながら刃物を向ける。「お前なんかに弔われたって白々しくって反吐が出る」と叫ぶ。そしてマリコの親は自分の娘を重ね、怯んだ隙に主人公はマリコのお骨を持ち去っていく。

https://comic.pixiv.net/works/5877

 

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マリコが生前したくてもついぞできなかったであろうことを、親友である主人公が代弁したとも言えるシーンだ。

 

思わず本屋で泣きそうになった。

 

私はずっと。こうしたかったのだ。

自分の親に向かって。刃物を持って。泣きながら、叫びたかった。「ふざけんじゃねえ!!!死ね!!!」と。

 

この世はどうしようもなく理不尽で、私が選択しなかったはずの出来事が次々と襲ってくる。

 

親の離婚も、娘を無視する母親も、暴力を振るう兄も、イジメも、惨めな同情も。

 

全てが理不尽で私はひどく辛かった。

 

それでも私は自分1人で生きて、1人で勉強して、1人で部活や学校行事を頑張った。

 

だから今の私があるし私はこうして世間一般的にいう「キチンとした」人生を歩み、堅実に生きていこうとしている。

 

私は1人だ。

 

遺伝子が関係あっても遺伝子だって私だ。父や母のもとを離れ私の身体に入った瞬間にその遺伝子を殺すも生かすも私の生き方次第になる。私が理不尽な不幸に晒されてもここまで健やかに逞しく育ったのは父親でも母親でもさるさんですらなく、他の誰でもなく私のお陰だ。私だ。

 

私は誰かにいじめられても誰もいじめなかった。勉強を頑張った。部活も頑張った。絵を好きになって1人で絵を描き続けた。本を好きになったりアイドルを好きになったりした。

 

他人に影響を受けながらも選んだのは私で私はこうして生きてきた。

 

辛かった人生と許せない両親と兄を抱えながら「おもしろいから大丈夫」と大人ぶらなくていい。「でもお父さんのことは好きだよ」なんて言わなくていい。もっと辛い人のことなんて関係ない。

 

私が頑張って私が生きている。22歳の歳の今日まで自殺など考えずガムシャラに頑張ってきたのは私なのだ。

 

刃物を持って泣きながら彼らを殺しにいこう。お前らが勝手に産んでおいて勝手に不幸にして私が生きた人生をお前らのものにするんじゃねえクソやろうと。

 

よく生きたね。愛してるよ。お前の不幸ごと私は全部お前が誇らしい。

この先アシタカが現れなくても。私はお前を世界で一番愛してるよ。